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2012年3月11日(日)
ポジティブ心理資本


企業の社員研修で、最近ちょっとした変化を感じています。

2008年のリーマンショックの頃には、「雇用調整助成金」を利用した企業の社員向け研修が各地で連日のように開催されていたためか、参加している社員達からは研修疲れのような覇気の無い雰囲気が感じられたものです。

それが最近の企業の社員には、研修を楽しんでいる様子が感じられるようになりました。業界団体で行なう研修で終了時に参加者から自発的な拍手を受ける経験もするようになりました。

また、先月まで毎月1回の社員研修を実施していた金沢市内のある製造業の企業では、昨年秋の研修開始時(初日)と、先月の終了時(最終日)に取ったアンケートの比較から興味深い結果が出てきました。

アンケートの質問は、「@仕事に対するやる気はありますか?」「A研修は好きですか?」「B社内の人間関係に満足していますか?」という3点です。それぞれの質問に対して、10段階で答えてもらい、全社員の平均点を計算しました。

結果は、次の通りでした。

「@仕事に対するやる気はありますか?」 5.66⇒6.95
「A研修は好きですか?」 4.75⇒5.50
「B社内の人間関係に満足していますか?」 5.52⇒6.02

月に1度だけの研修ですが、全社員が一同に会して同じ研修を受け、グループワークの意見交換などを通して、“前向きさ”が増したことが示されました。


ところで
昨年秋より、数年ぶりに「職業訓練」講師も手掛けています。

職業訓練では、「職場のビジネスマナー」と「パソコン(Word, Excel)」を担当しています。現在5クラス目を担当中ですが、そこでもやはり最近出会う人々がとても“前向き”なのです。

訓練を楽しんで受講している様子が見られます。それは笑顔や、うなずきや、講師を見る真剣なまなざしや、盛んにメモを取るなど、受講者の態度に見られるものです。そのため、先月終えた「OA経理科」という職業訓練(労働局「求職者支援訓練」)クラスでは、21歳から57歳までの男女の受講者の3ヶ月間の受講期間中の欠席はゼロでした。そして、先月全員で受験に行った「日商簿記2級」は、ホームページで事後に公開されている解答から見て、全員合格していると考えられます。

求職者に対する職業訓練は、以前は言い方は悪いのですが、覇気の無い人たちが多くいたように感じられました。途中で居眠りをしている人も珍しくなかったり、欠席者が多かったりしました。


「物事を前向きに捉えて取り組めること」を「ポジティブ心理資本」と言うそうです。仕事や研修や訓練などに対して、生き生きとした表情で取り組む人と、やる気がなさそうな態度で取り組む人とでは、当然その後にあらわれる結果が違ってきます。

仕事で出会うそうした前向きな人々と接して私は、東日本大震災という未曾有の困難に直面しているわが国ですが、人々の心は決して打ちひしがれていないと言えるのかも知れないと感じます。福島県から石川県に避難して職業訓練を受けている人を見ても、当然内心では様々な思いがあることでしょうが、職業訓練は前向きな態度で受講されています。頭が下がる思いです。

物事を前向きに捉えて、未来を切り開きたいものですね。
“笑う門には福来る”






企業の社員研修
2012年3月18日(日)
買い物弱者支援の取組みが始まりました @


少子高齢化と人口減少が進む日本で、経済産業省の推計では、「買い物弱者」と呼ばれる人々が全国に約600万人も存在するとのことです。


かつて存在した身近な地域のお店がどんどん無くなることや、公共交通機関の減少によって、日々の買い物に支障をきたす人々が増えているのです。

そうした
買い物弱者を、「支援しよう」という取組みが各地で始まっています。
買い物弱者支援の方法は、大きく分けて3通りあります。

 @身近な場所に小規模な店を新たにつくること(臨時または常設)
 A街へ買い物に出かけられる交通手段を新たに築くこと
 B自宅または地域に商品を配達すること

セブン&アイ・ホールディングスや生協など、規模の大きな流通業の場合、自社のみでそうした支援を始めているケースが見られます。例えば、新潟に住む娘が静岡に住む父親のためにセブン&アイ・ホールディングスに弁当の配達を依頼するというケース(経済産業省「買い物弱者応援マニュアル」より)や、買い物バスを走らせるケース(同)などがあります。

ただ、そうした規模の大きな流通業によるものばかりではなく、全国には商店街と行政と地域がタイアップして、「まちづくり」として支援を進めるケースも多々あります。ただ、現在までに明らかになっているところによると、そうした試みの多くは赤字です。・・・取組みを継続するには、赤字を出さないことが不可欠の課題だと言えるでしょう。


そうした中、私の地元・石川県能美市でも、市と商店街が同時に動き始めました。
能美市は地域住民の声を拾う調査を開始しましたが、商工会女性部に加盟する商店もまた社会福祉協議会とタイアップして、先月より「買い物弱者支援」の検討を始めました。

2月21日(火)、能美市社会福祉協議会の呼びかけで、商工会女性部は「まちづくり研究会」をつくり、行政(まちづくり推進課)、市民など約25名が集まって、最初のワークショップが行なわれました。ファシリテーターは私です。


ワークショップの手順は以下の通りです。

 @幾つかの質問を参加者に投げかけて、「買い物弱者」のイメージをつかんでもらいました。
 
 Aグループごとに、テーブルに広げた能美市の地図上で「生鮮3品(野菜・肉・魚)が買える店」に印をつけてもらいました。そして、歩いて出かけて買ったものを歩いて持ち帰れる距離として、半径800メートルを丸く囲んでもらいました。すると、かつてあった店がどんどん無くなって、今は幾つかの商店街にしかそうした店が無い姿があらためて見て取れたのです。
 
 B全国の買い物弱者支援の事例を説明しました(毎田)。
 
 C能美市ではどんな取組みが可能か、グループで話し合って、案をつくってもらいました。漠然とした案や細かい案があまり混在しないように、話し合う観点を幾つか私から出しました
(「何を」「どれくらい」「誰が」「いつ」「どこで」「どのように」「なぜ」)

 D発表しあいました。

ワークショップでは、「あれもできる、これも考えられる」というよりも、「この市で実現可能なプラン」をグループで1つに絞って、それについて深く掘下げて考えてもらうやり方を取ったのです。

その結果、5つに分かれたグループから出てきた案は、それほど遠い将来ではなく、近未来に実現可能な案がいくつも出てきました。「新たにつくる・買う」というものもありましたが、「今あるものを活かす」という観点が多く出てきました。例えば、「バス路線を見直す」という案もありましたが、「今あるバス路線を活かして支援を立ち上げる」という発想をしたグループもありました。


じつは、商工会女性部の役員や社会福祉協議会との事前の打合せでは、「買い物弱者支援はやりたいけど、難しいよね」という声が続々出ていたのですが、第1回目のワークショップがこのように進んだことによって、商工会女性部は実現に向けての自信を得たようです。

また、終了時に私は「この続きをまた話し合いたい人?」と尋ねたところ、ほとんどの参加者が手を挙げてくれました。

その後、石川県商工会連合会に補助金の申請を出すと共に、商工会女性部役員による第2回目のワークショップが、3月13日(火)に行なわれました。






買い物弱者支援ワークショップ
2012年3月21日(水)
買い物弱者支援の取組みが始まりました A


3月13日(火)、能美市商工会女性部「まちづくり研究会」による、買い物弱者支援のためのワークショップが開催されました。

これは、先月行なわれた第1回目のワークショップを受けて、さらに計画を前に進めるために開かれたものです。

ちなみに、前回出された5つのグループの案はいずれも「自分達に今できること」という観点が強く、「無理なく効率的に」「モデル地区を定めよう」「まず人々の要望を拾い上げよう」など、買い物弱者支援事業の初期段階に行なうべき事項が出されていました。

また、5つのグループの案に共通するのは、「買い物弱者がいる地域に出向いて臨時の店舗を開設する」という観点です。

そしてこの日のワークショップは、次のように進みました。

 @前回の振り返りと5グループによる報告をまず行ないました。

 A4つのグループに分かれた参加者は、前回用いた能美市の地図を再度確認し、地区の人口やバス路線も参考にしながら、取り組みたい地区を設定しました。

 Bその地区を「モデル地区」として、無理なく継続的に取り組める実行案を練り上げました。

 C発表しあいました。

今回もまた、できるだけ掘下げた話し合いが行なえるように、話し合う観点を私(ファシリテーター)から出しました。「商品の運び方・売り方」「開催頻度」「誰が運び、誰が売るのか」「どのような費用が発生し、誰がどう負担するのか」「地元の協力者」・・・などの観点を掘下げました。


グループに分かれた話し合いで、「モデル地区」とされた地区はほぼ共通しました。そして、「やりながら見えてくる課題を改善していく」という立場の共通も見られました。また、運んだ商品を広げて並べ、終了後にまた車に積むというやり方は、人手・体力・機動力に問題があり、最初の段階では、車に積んだままの「移動販売」というイメージが、いずれのグループからも出てきました。

前回のワークショップでは、福祉施設の職員から送迎用のワゴン車が空き時間に使えるという申し出がありましたが、今回もまた、自分がモデル地区で販売員をするという申し出がありました。

こうしてほぼ共通する地区における買い物弱者支援の取組みの案が出てきたわけですが、次のステップは、現地を見て机上で作った案を検証してみることでしょう。そうしたフィールドワークは、まちづくりにおいて不可欠です。「行ける人みんなで一緒に現地を見に行きましょう」と約束して、第2回目のワークショップを終えました。


帰り際、参加者の1人が「今回一段と楽しくなってきた。どんどん具体的に話が進むので楽しい」と笑顔で他の参加者に話していたのが印象的でした。




3月13日、商工会女性部役員によるワークショップ
2012年3月23日(金)
ファシリテーターのスキル習得講座


能美市教育委員会・生涯学習課より、「男女共同参画推進員」をなさっている市民を対象とした、講演の依頼があり、先日実施しました。


男女共同参画の会合だけでなく、近年は様々な会合でグループに分かれて語り合う機会が増えてきました。ところが、生涯学習課の職員の方がおっしゃるには、「グループの話し合いでファシリテーターが機能していない」「司会役が一方的に話をしていて参加者の声が公平に拾えていない」という局面が多々見られるそうです。

そこで、限られた時間の中でしたが、“地域での会合の事例”を使って、「一般的な会議の議長」と「参加者の声を拾うファシリテーター」の違いをお伝えしました。

議長 ファシリテーター
役割 下す結論に対し意思決定する。 話し合いを推進させる。
参加者の合計せいの上での良い
結論に導く。
立場 当事者の立場で、自分の意見と
経験に基づいて議論に関与する。
議論や意見の内容ではなくプロ
セス(過程)に関与する。
話し合いを進めるための意見は言う
が、議論の内容に対する持論を押し
つけることはしない。
責任の違い 結論に対する責任を負う。 合意形成に導くプロセスに対して責任
を負う。

ファシリテーターとして、参加者から多くの意見を拾って合意形成へと導く「ファシリテーション」(推進)をするには、“コミュニケーションのスキル”と、“記録のスキル”が必要です。

当日準備した資料に沿って、議長の口調とファシリテーターの口調の違い、ファシリテーターの記録の取り方の特徴にも気づいていただきました。

男女共同参画推進員の皆さんは、それぞれに、町内会長や自治公民館長、婦人会長、市民グループの代表など、地域の様々な役職者でもありました。

そして、「これまで自分が一方的に話すばかりで、参加者の意見をきちんと聴けてなかった」と、気づいてくださいました。

また、「時間の関係で、話合いがしたくてもできない場合があるのだが」という意見も出されました。私も昨年、町内会の会計を務めましたので、町内会の役員会の様子は分かります。月に1度の役員会で役員の皆さんに伝えなければいけないことが山のようにあるのです。

「淡々とした伝達事項」で済む事柄と、「意見を拾って合意形成」してもらう必要がある事項とを区別して、後者の時間にファシリテーターを務めるのがよいのではないでしょうか。


ありがたいことに終了後には、「今日来られなかった人たちにも聞かせたい」「地域の皆さんにも聞いてもらいたい話だった」という感想をいただきました。

「三人寄れば文殊の知恵」となるような話し合いをすることが、メンバーの当事者意識を育て、やる気を引き出し、総合力の発揮につながるのです。








ファシリテーター講座の様子
2012年4月9日(月)
新入社員研修の季節です


春がやや遅い北陸ではサクラはまだ開花していませんが、新年度に入って新入社員研修が各地で始まっています。

私は、2009年より能美機器協同組合で、2日間の新入社員研修とその後のフォローアップ研修の講師を毎年務めています。

今年度は、本日より始まりました。市内の製造業企業のうちの9社から外国人を含む24名の新入社員が今回の受講生です。航空機用エンジンやブルドーザー、大型金庫、ベルトコンベアー、産業機械などをそれぞれに製造するメーカー企業から参加しています。

今年の新入社員から受ける印象は、高卒の社員にはまだ子どもっぽさが残るものの、皆さん共通して昨年よりも態度が前向きだと感じます。写真は個人ワークに取り組む様子ですが、真剣でした。

さて、内容を少し紹介します。

製造業では、職場の良好なコミュニケーションやチームワークを維持する協調性が特に大切です。その不具合が発生すれば、「不良品の発生」「コスト増大による利益圧迫」、ひいては「労働災害」などを引き起こしかねません。

本日は「社会人のコミュニケーションの特徴」「態度で伝わるやる気」「言葉遣い」「他人を思いやる職場のマナー」などについて、なぜそれが必要なのかという具体例を交えながら紹介をしました。

また、グループワークでは、ミーティングへの参加のしかたと、合意形成のしかたの一端を体験してもらいました。製造業に限らず、どんな業界の職場でも、職場の打ち合わせなど、ちょっとしたミーテイングは頻繁に開かれます。

ただ、ミーティングが単に一方的な業務連絡で終わることもありますが、製造業においては、現場はその現場の担当者にしか分かりません。日々用いる工作機械やジグなども、それを扱う担当者が一番よく分かっています。つまり、製造業では、全員参加による創意工夫が求められており、「発言が出ない」とか「取りとめの無いフリーディスカッションに終始する」という非生産的で非効率なミーティングでは、それこそ利益を圧迫していまうのです。

生産的なミーティングを実施することは、製造業の職場改善や品質改善には欠かせないことなのです。

明日2日目は、「チームの一員としての職場の常識」「職場で求められる責任感とその発揮のしかた」「5SやQC等の職場管理手法の一端」を紹介して演習していただきます。また、明日の最後には、今後目的を持ちながら長く働いていくために、各自のキャリアデザインをしていただきます。

明日もまた、日本の将来を元気に担ってゆく彼らとじっくりと時間を過ごすのが楽しみです。




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