従来、民間資格のみだったキャリア・コンサルタント(キャリア・カウンセラー)資格に、今年から国家資格が導入されました。既に、今年は2回検定が実施され、私は夏に行われた2回目の検定を受けてお陰さまで合格しました。
正式名称は「キャリア・コンサルティング技能士」の技能検定」です。今年は1級が無く2級のみの検定ですので、私は「2級キャリア・コンサルティング技能士(国家資格)」を取得したのです。
検定試験は、筆記試験による「学科試験」と、論述試験および面接試験(カウンセリング実技試験)の2つの「実技試験」から成り立っています。このうち私は学科試験免除の資格を与えられたので、2つの実技試験を受けるだけで済みました。
キャリア・コンサルタント(キャリア・カウンセラー)の社会的な認知度の向上のために以前から待ち望まれていた国家資格で、全国で多くの受験者が挑戦しました。そのほとんどは民間資格を持ち実務経験もあるキャリア・コンサルタント(キャリア・カウンセラー)です。そのため、私と同様に、ほとんどの受験者は学科試験を免除されています。
第1回目は3,236名が受験し、第2回目は1,559名が受験しました。合格者はそれぞれ452名と335名です。率にすると、14.0%と21.5%ですね。かなり厳しい数字だと言えます。
キャリア・コンサルティング技能検定は、まだ始まったばかりなので、私も手探りの状態で受験の準備をしたり、実技試験を受けたりしました。また、第1回を受験した人にもアドバイスを求めたものの、あまりはっきりしたことは分からなかったのです。ですから、私の経験は参考になるかどうか分かりませんが、これから受ける人のために今の時点で感じる教訓を、少し書きたいと思います。
実技の論述試験では、キャリア・コンサルタント(キャリア・カウンセラー)と相談者とのカウンセリングの記録「逐語記録」が提示され、次の3点が問われます。
問1 相談者がこの面談で相談したい「問題」は何か記述せよ。
問2 あなたは、上記の「問題」を解決するにあたって、@どこに目標をおいて、Aどういうこ
とを具体的に実施したいか。あなたのストラテジー(戦略)を記述せよ。
問3 キャリア・コンサルタントとしてあなたが考える、@問1、問2で記述した以外の相談者
の「問題」は何か、また、Aその「問題」を解決する為に、今後どういうことを具体的に実施
したいか、記述せよ。
この3問の問題は、第1回目にも第2回目にも出されました。そして、振り返ると、面接試験(カウンセリング実技試験)でも、20分間のカウンセリング実技終了後に試験官から同様の質問をされたのです。
つまり、幾つか質問をされた中には、@来談者の訴える主訴は何か、A来談者の主訴を解決するための目標と解決策、Bキャリア・コンサルタントとして来談者に感じるその他の問題点は何か、それを解決するために具体的にどのようなことを実施したいか、が含まれていたのです。
どうやらこの3点は、国家資格・キャリア・コンサルティング技能士の合格のためのキーワードではないかと感じるのです。
キャリア・コンサルタント(キャリア・カウンセラー)ではない人には分かりにくいと思いますが、民間資格の実技試験で重視されるのは「来談者中心療法」に基づく「傾聴」というスキルです。つまり、相談者と信頼関係(ラポール)が築けるかどうか、相談者の話をじっくり聴くことができるかどうか、が重視されます。カウンセリング実技試験の時間は10分未満です。
こうした実技試験のやり方に、私たちキャリア・コンサルタント(キャリア・カウンセラー)は慣れすぎているのかも知れません。ですが、国家資格のキャリア・コンサルティング技能士の場合、これでは不十分なのです。なぜなら、実際のキャリア・カウンセリングの現場では、傾聴だけですべての問題が解決するわけではないからです。その先にあるキャリア・コンサルタント(キャリア・カウンセラー)としての、相談者の問題への介入の質が見られているのでなないかと、私は感じたのです。
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